パーソナルモビリティをもっとクールに。機械エンジニア平田泰大氏のカバンの中身

「みんなのカバンの中には、いったいどんなモノが入っているのだろう?」という疑問からスタートしたこの企画。カバンの中身が好きな人に送る「あんなモノ」から「こんなモノ」まで、リアルなユーザーのカバンの中身を紹介しよう。

今回は、日本発のハードウェアスタートアップWHILL株式会社でパーソナルモビリティ『WHILL(ウィル)』を開発しているメカニカルエンジニアの平田泰大さん(ひらたよしひろ)のカバンの中身を取材した。

クールなプロダクトを日本から世界に発信するメカニカルエンジニア(機械エンジニア)のカバンの中には、いったいどんなアイテムが入っているのだろうか。

 

※この記事は2017年に公開した記事を再編集して掲載しています

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このカバンの持ち主:株式会社WHILL(ウィル)で働く機械エンジニア 平田泰大さんについて

平田さんは、WHILL株式会社で、パーソナルモビリティ『WHILL』の開発をするメカニカルエンジニアだ。「すべての人の移動を楽しくスマートにする」を掲げ、日々 WHILL の開発に勤しんでいる。

僕が平田さんと初めて会ったのは昨年のこと。共通の友人を介して知り合い、僕とは接点の少ないモビリティの分野で活躍している平田さんの WHILL に懸けるアツい思いを語る姿が印象的だった。つい先日、その共通の友人の個展が開催され、そこでばったりと出会って今回のカバンの中身取材を依頼したというわけ。

パーソナル・モビリティ『WHILL』とは

画像左:WHILL Model A、画像右:WHILL Model C

知らないのためにちょっとだけ紹介すると、WHILL はクールな外観が特徴の次世代型の電動車椅子であり、“すべての人の移動を楽しくスマートにする”パーソナルモビリティだ。初めて市場に出された Model A を見たことがある人は少なくないかもしれない。

パーソナルモビリティとは、一人乗り用のコンパクトな移動支援機器のことを指す言葉で、ビークルやセグウェイなどがこのジャンルに含まれる。

そんな WHILL を展開する WHILL株式会社の設立は2012年。「100m先のコンビニに行くのをあきらめる」という車椅子ユーザーの何気ない一言がきっかけで、WHILL の開発がスタートした。現在 WHILL株式会社は、日本と米国を合わせて従業員は約70名ほど。そのうちの約半数はエンジニアとして日々開発に取り組んでいる。

従来型の Model A をより軽量化した Model C

従来の電動車椅子との違いは、スタイリッシュでクールなデザイン性と機能性。これまでの電動車椅子にはない、誰もが「これ、乗ってみたい」と思う先進的なデザインが特徴的だ。過去にはグッドデザイン賞にも選ばれたこともあるという。

また、機能性も徹底的に考慮されていて、オムニホイールと呼ばれるタイヤを備えることで、5cm と高い段差を乗り越えたり、小回りが効く設計になっている。これまで「ちょっと出かけるのが億劫だ」と感じていた人でも、気軽に外に出られたり、買い物に行くハードルを下げられるように設計しているそうだ。

この Model C は、従来型の Model A をより軽量化したモデルで、大人が一人で分解して車に詰め込むことができるようになっている。これにより、車でちょっと遠出をしたりが気軽にできるようになった。

背面にバックパックを装着できたり、USB Type-A 経由でスマートフォンやタブレット端末などが充電できたりと、ガジェット好きにはグッとくる仕様も。
他にもクールな機能がたくさん備わっているのだが、記事の趣旨とはちょっと異なるので詳しくは『WHILL の公式ページ』をどうぞ。

――
ちょっと前置きが長くなってしまったが、そんなパーソナルモビリティ『WHILL』のメカニカルエンジニアとして、日々開発を続ける平田さんのカバンの中身を見ていこう。

平田さんのカバンの中身

こちらが平田さんのカバンの中身。どことなく持ち物が、米国の SF映画のようなクールな雰囲気が漂っている印象を受ける。工具などは持ち歩いてはいないが、大きめのラップトップ PC やトラックボールを持ち歩くあたりがエンジニア的だ。

急な泊まり込みの作業が発生したり、その日に海外の工場に出勤するとなってもいいように、普段出勤するときでも着替えや歯ブラシなどの生理用品、そしてパスポートを持ち歩く。それでは1つずつ持ち物を見ていこう。

バックパック『Minaal(ミナール)』

平田さんが愛用するバックパックは『Minaal(ミナール)』という大きめのバックパック。大きな容量の割にスタイリッシュな外観が気に入って、2年ほど前に Kickstarter  で出資。

当時は $250(日本円で約2万8,000円ほど)で出資をしたが、日本では約5万円ほどで販売されているとのこと。普段の通勤はもちろんのこと、一週間程度の海外出張もこのバックパックだけでどこにでも行くそうだ。

3D CAD も動かせる。17インチの大型ラップトップPC『HP ZBook Studio G3 Mobile Workstation』

2年ほど使っているという HP の 17型ラップトップ PC『HP ZBook Studio G3 Mobile Workstation』。約28万円で購入。

GPU を搭載するこのラップトップなら、3D CAD(立体的にハードウェアの設計ができるテクノロジー)もスムーズに動かせるし、普段の作業でも 4K ディスプレイを2枚接続できるパワフルさながら、わずか 2kg と軽量な点が気に入っているとのこと。

スマートフォンは iPhone 7 を愛用する

スマートフォンは iPhone 7 を愛用している。ガラスフィルムは貼らずにバンパーを着用する派。WHILL では iOS 開発も行っているため、動作確認などをするために iPhone 7 を使用しているとのこと。

iOS アプリでは、WHILL のロックを解除したり、走行距離を知ることができる。また、アプリをリモコン代わりに使うことも可能だ。

 

マウスやモバイルバッテリーなどのガジェット小物類

  • ロジクールのトラックボール『M570
  • Anker の 5200mAhモバイルバッテリー『Astro E1
  • Anker の2ポートチャージャー『PowerPort 2 Eco
  • USBメモリと Lightning ケーブルと micro USB ケーブル

 

ロジクールのトラックボール『M570(もしくは M570T)』

マウスはロジクールのトラックボール『M570』を愛用しており、こちらも PC 同様 2年ほど愛用している。3D CAD は頻繁にマウスを使うために腱鞘炎に悩まされていた時期があったそうだが、トラックボールにしてからは腱鞘炎も軽減したという。
また、トラックボールなら使う場所を選ばず、飛行機内などマウスを使えない環境下でも使える点が気に入っている。

追記:マウス左型の角度などから M570T(M570のマイナーチェンジモデル)かもしれないというコメントもあるが、こちらで断定は難しいため、改めて「そのどちらか」という旨を追記しておいた。

 

Anker のモバイルバッテリーと 2ポートチャージャー

Astro E1 はサイズ感がちょうど良く、コンパクトながら 5200mAh と大きめの容量が気に入っている。PC 以外に充電が必要なガジェットは iPhone くらいなので、容量が小さいモバイルバッテリーでも十分とのこと。

2ポートチャージャーは、普段から持ち歩いて出先で使っている。また、ポートが2つあるので出張の際にもなにかと便利とのこと。

 

GRID-IT と小道具たち

僕も「カバンの中を綺麗に整理!ゴムバンドでモノを挟む『GRID-IT』レビュー」で紹介している GRID-IT を愛用している。手軽に大きさのバラバラなアイテムを綺麗に整理できるしというのが気に入っているとのこと。また、急な出張でサイズを測ったりすることもあるため、メジャーも持ち歩く。

 

メモはモレスキンのノートブックを愛用する

モレスキンのノートブックは、主に仕事のアイデアなどをメモするために使用。PCなどが使えない道中などで、仕事のアイデアが浮かんだ際にイラストを書いたりしている。

上記で紹介した WHILL の軽量版モデル Model C を設計した際のアイデアなども、このモレスキンのノートブックに書き記していたそうだ。

 

急な海外出張にも対応。パスポートを持ち歩く

WHILL の生産工場は、台湾の新竹(しんちく)市にある。そのため、仕様変更などがある際なんかには海外出張に行くこともある。急な出張も少なくないので、パスポートは欠かせない。

 

イヤホンはソニーの MDR- EX650

音楽を聴いたり、米国や台湾のチームとのオンライン会議の際に使うというソニーのインナーイヤータイプのイヤホン『MDR- EX650』。音質の再現性が高くクリアに響く音質が好みだそうだ。

 

サバイバルセット

急な出張に備え、歯ブラシやシャンプー、香水などを常に持ち歩く。

 

平田さんにいろいろ聞いてみた

――なぜ WHILL に入ろうと思ったのか

もともとは車を作りたいという思いがあって、理系の大学を出たあとは車の部品メーカーに勤めメカニックエンジニアとして働いていた。仕事をしていくうちに、次第に「自分たちで完成品を作りたい」「その製品で世界を変えたい」という思いを持つようになり、ハードウェアスタートアップという点、成長スピードが早いという点に惹かれて、WHILLに出会って転職。
10人目のメンバーとして開発に参画し、現在では設計から開発までを仲間たちと一緒に手掛けている。

――どんな働きがいがあるのか
とにかくユーザーとの距離も近く、直接「ありがとう」と言ってもらえることはやりがいに繋がる。また、WHILL の場合は設計から製造までを一貫して行っているので、もらったフィードバックをすぐに活かすことができるスピード感も魅力。

 

――モノ選びのときのポイントは?
純粋に自分が良いと思ったプロダクトだけを買う。ハードウェアのエンジニアという職業柄、「どういう意図で作られているモノなのか」「ユーザー視点に立って考えられたモノなのか」をが考えられているモノが欲しくなる。

 

―― 最近一番おもしろいと思ったプロダクトは?

NINTENDO LABO(ニンテンドーラボ) がビビッときた。子どもと一緒に、モノを作るところから遊べるし、なにより子どもだけじゃなくて、大人も同じように楽しみながら作って遊べるというのは面白い。生活必需品を作っている側からすると、玩具やエンターテインメントで人を感動させられるというのは痺れた。

 

まとめ

こんな感じで WHILL のメカニカルエンジニアである平田さんにカバンの中身を見せてもらった。

ハードウェアのメカニカルエンジニアということで、普段とはちょっと異なるタイプの職業の人のカバンの中身を見せてもらったが、3D CAD を動かすこと前提の PC を持ち歩いていたり、出張時のためのパスポートやメジャーを持ち歩くなど、個人的には面白いカバンの中身取材となった。

また、今回の取材にあたって WHILL について色々を話を聞かせてもらったり、実際に試乗体験もさせてもらったのだけれど、デザインや用途などはもちろんのこととにかく細部に至るまでのこだわりが半端ではなく、例えばバッテリーのサイズやモーターの国際規格申請の話など、さまざまな点に配慮を置いて一台のプロダクトが完成するのだと感動。

平田さんには、これからも「世界を変えるモビリティ」の開発で活躍してほしい。

 

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