「みんなのカバンの中には、いったいどんなモノが入っているのだろう?」という疑問からスタートしたこの企画。カバンの中身が好きな人に送る「あんなモノ」から「こんなモノ」まで、リアルなユーザーのカバンの中身を紹介しよう。
今回はフリーランスの哲学女子として活動する田代 伶奈(たしろ れいな)さんのカバンの中身を見せてもらった。「哲学対話」を用いてウェブやメディアを通じて発信する田代さんのカバンにはいったいどんなモノが入っているのか。
※この記事は2017年に公開した記事を再編集して掲載しています
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このカバンの持ち主:哲学女子 田代伶奈(たしろれいな)さんについて
冒頭でも簡単に紹介したが、田代さんはフリーランス2年目の「哲学女子」として活動する20代女子だ。上智大学で哲学を専攻し、現在はフリーランスとして IT やカルチャーなど、分野を問わずさまざまな媒体で「哲学対話」を用いた連載を持つ。
「哲学対話」という言葉がちらほら登場しているが、田代さんいわく、哲学対話とは僕らが思っているような哲学とはちょっと違うそう。簡単にいうと「一つのテーマに対してじっくりと対話し、自分と他者の言葉に耳を傾ける」ということらしい。例えば「生きる」がテーマなら「なぜ僕らは生まれたのか」「生きる目的と意味とは」などを深掘りしていくイメージ。
自分の意見だけを押し通すのではなく、対話を通して客観的に吟味することで、違う角度からのアプローチやより良い考え方を得られるとして、近年では道徳の授業や企業のワークショップでも人気の分野らしい。
▷「当たり前」を疑わない人へ。「哲学」という“自由になる方法”を知った彼女が「答えも勝敗もない対話」が重要だと考える理由。
オンラインだけでなく、全国の小中学校を飛び回って授業を行ったり、イベントや講義などリアルな場で哲学を通じた講義も行うなど、マルチに活動の幅を広げている。
僕が彼女と知り合ったのは Engadget のインターン時代。僕が就職するタイミングで後任として入社してきた。記事や動画チャンネルにも登場しているので、Engadget 読者なら「あ、この人見たことある!」と思った人も多いはず。
そんなかんじで「哲学をもっと身近に」をテーマに活動する田代さんのカバンの中身を見せてもらった。
哲学女子のカバンの中身
- ポーターのバックパック
- MacBook Air
- iPad mini
- iPhone X
- iPhone 6s
- WiMaxルーター
- 写ルンです
- BREEの財布
- BREEのパスケース
- BREEのキーリング
- 本:社会的想像力
- メイクポーチ
- 手帳
哲学女子 田代さんのカバンの中身はこんな感じ。革製品や花柄のポーチなどがあり女性らしい(といったら偏見かもしれないが)持ち物という感じだ。
富士フイルムの「写ルンです」や、なにやら難しそうな本を持ち歩いているというのも気になるポイント。それでは一点ずつ紹介していこうと思う。
カバン:シンプルなポーターの『デイパック』
見た目がかわいいという理由から、普段愛用しているポーターの「デイパック」。見た目にもシンプルだし、コンパクトでお洒落だ。
記事の執筆から仕事のコミュニケーションまで MacBook Air
記事の執筆や仕事のやり取りなど、そのすべてが MacBook Air で完結する。もらいものの MacBook Air でちょっと古いものなので、そろそろ 12インチの MacBook に買い換えを予定しているとのこと。
iPhone に iPad mini、意外と多いガジェット
こちらは田代さんが普段持ち歩くというガジェット類。意外にもガジェット端末を多く持ち歩く。仕事とプライベートは分けたいので、スマートフォンは iPhone 6s と iPhone X の2台持ち。iPhone 6s に関してはディスプレイがバキバキに割れていた。
半年に一回のペースで割れるという iPhone。女子はよくディスプレイがバキバキになっている iPhone を使っている印象なので、なぜなのか聞いてみると「サイズが微妙に大きくて手のサイズに合わないから滑る」とのこと。あとは「女子の服にはポケットがないものも多い」というのも大きな理由だそうだ。
数ヶ月に一回のペースでディスプレイ交換は厳しいのでそのまま使っているという。決して哲学的な意味でディスプレイの割れた iPhone を使い続けるわけではない。
iPad mini
iPhone と一緒に買うとオトクという言葉に誘惑されて手に入れた iPad。毎日持ち歩く分には軽くて良いけど、使いみちが分からずに困っているとのこと。どうした Engadget の元インターン。
壁紙は大正ロマン的な画風がおしゃれな中原淳一さんによるもの。当時の二次元の最先端だったのだろうか。
▷iPadを買って後悔する人しない人。買う前にもう一度よく考えた方が良い話
WiMaxルーター
フリーランスとして活動しているため、特定のオフィスを持たず、カフェで作業をすることが多い。そのために WiMAX ルーターは欠かせない。
使い捨てのフイルムカメラ「写ルンです」
フィルムカメラの雰囲気が好きだということで、富士フイルムの「写ルンです」を持ち歩く。最近はデータにして写真を iPhone に転送できるので、写ルンですで写真を撮った写真をインスタグラムにもアップロードできる。
色で揃える革製品
育てるのが楽しいという理由から、財布や名刺入れ、パスケースなどの持ち物をすべてヌメ革。ドイツで生まれた田代さんらしく、すべて BREE(ブリー)というドイツの革製品メーカーのアイテムで統一している。
難しそうな本「社会的想像力」
なんだか難しそうな本をよく持ち歩いては読んでいる田代さん。本の感想を尋ねると「哲学ばかりやってたからずっと社会学という学問に対して少し抵抗があったんだけど、友達に勧められて読んでみた。
長い本だから要約するのが難しいけど、『社会学的想像力』とは『私的な問題』と『公的な問題』を結びつける力。『ひとりひとりの生活と世界の歴史』とか、『個人のトラブルと社会の問題」とか。
ミルズはそれに加えて、『社会学的想像力』は『あるパースペクティブを別のパースペクティブに切り替えていく能力だ』とも。気になるひとはぜひ読んでみてね!」とのこと。
メイクポーチの中身
花柄がおしゃれなポーチの中には、ハンドクリームやリップクリームなど女子的な小物がたくさん入っている。
哲学女子にいろいろ聞いてみた
――なんでフリーランスの道に進んだの?
理由は2つあって。私自身があんまり組織に縛られたくないタイプだったっていうのと、「哲学対話」を小中学校の授業で教えるためには、フルタイムで会社員はできないということ。
私はもともと哲学に興味があって、それを仕事にしたいと決めてたの。でもインターンで Engadget に入ってから、メディアを作ったり文章で人に物事を伝えるって職業にも出会って、こういう伝え方もあるんだなーって。
その後に上智大学の研究所に非常勤で就職したんだけど、もっと活動の幅を拡げたかったし、フリーランスになったって感じ!「哲学 × ウェブライティング」っていう、自分がやってきたことを組み合わせて、それが仕事になってるっていうのは不思議だし面白いよね。バタバタで忙しいけど毎日楽しいよ!
――哲学対話ってどういうことをするの?普通の哲学となにが違うの?
「哲学対話」は一般的な哲学とはちょっと違うの。一般的な哲学の研究って「アリストテレスとか昔の哲学者の本を読んで、意味を解釈をして論文を書く」っていうのがメインなのね。でも哲学対話って、愛とか正義とか、それこそトバログが好きなテクノロジーとかについて、徹底的に複数人に語り合うってのがちょっと違うポイントかな。
一応ルールみたいなものがあって、私の哲学対話は「偉い人の言葉や難しい言葉は使わない」「他の人の意見は否定しない」っていうのがルールかな。最近は小中学校の道徳の授業でも注目されはじめる感じがする。
――そもそもなぜ哲学を学ぼうと思ったの?
これは純粋な知的好奇心から。昔から「なぜ?」を突き詰めることが好きだったんだよね。例えば「愛」とか「正義」って、みんななんとなくわかってる気持ちになっているけど、実は分かってないじゃん? それを追求してみたいっていうところがスタートだから哲学にたどり着いたって感じかな。
哲学って自分の意見を相対的かつ客観的にみることができるのね。みんな自分の意見を肯定しがちだけど、実は色々な意見のなかの一つに過ぎないわけで。
哲学対話が討論とかディベートと大きく違うところは、「自分の意見を押し出すだけじゃなくて、自分の意見をしっかり吟味して相手の意見も取り入れつつ、みんなでより良い意見を出し合う」ってところ。闘ったり貶したりするわけじゃなくて、みんなでアートを創っていく感覚に近いかもね。
――哲学対話のゴールってなに?
哲学対話ってゴールがあるとかそういうものじゃない気がするけど、強いて言えば「自分のやっているコトとか仕事などに対して『より明確な意識を持つ良くする』とか、『仕事の意味』とか『これをする事でなにが生まれるか』とかを、自分の中で明確化する」ってのがゴールかもね。
企業のワークショップとかだと「答えを見つけること」がゴールだったりするけど、基本的にはこうやって一つのテーマで深く対話するっていうだけでも意味があると思うよ。
――2018年の目標とかある?
前から言ってるけど、「哲学」とか「アート」を題材にした雑誌(Zine)を発刊したい!とはいってもどう進めれば良いかとか何から手を付ければ良いかがよく分からないので、協力者も募集してます!(笑)
哲学が題材なので、深い考察や思考が得意なライターさんや、取材とか対談に協力してくれるアーティストが来てくれると嬉しいです!
――田代伶奈としての今後の目標は?
目標か~、長期的な目標とか夢を追いかけるっていうのが苦手なんだよね。過去に向き合うのも苦手だし、未来にも過去にも興味がないのかも。フリーランスなわけだし、毎日 “今” を追いかける感じ。だから「今を一生懸命生きること」が目標かな(笑)
まとめ
こんな感じで、フリーランスの哲学女子として活動する田代伶奈さんのカバンの中身を紹介してみた。彼女自身はフリーランス2年目で、ライター歴も1年とちょっとくらい。まだまだ駆け出しのフリーランスライターではあるが、すでにいくつもの媒体で連載を持っている。
もちろん彼女の持ち前の明るさと度胸から仕事が舞い込んでくるという要素もあるとは思うが、「哲学」のように、なにか違うカテゴリの得意分野とウェブライティングを掛け合わせている人がフリーランスになるのは強いのだなあと感じた。
田代 伶奈(@reinatashiro)
ベルリン生まれ東京育ち。上智大学哲学研究科博士前期課程修了。「社会に生きる哲学」を目指し、研究の傍ら「哲学対話」の実践に関わるように。自由大学で哲学対話の講義を開講。Be inspired!、IBM THINK Watsonなど複数の媒体でライターをしている
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